それにはT-18mmという地上接眼鏡:テレストリアル・アイピース(Terrestrial Eye-Piece)が付属していた。
ある時、分解掃除しようとして眼レンズを外したら、中のスプリングによって一気に部品がはじけ飛んだ。結構複雑な構造で、半ベソかきながら、ああでもないこうでもない、と試行錯誤しながら組み立てた記憶がある。
地上接眼鏡は、「主鏡による上下左右逆像をさらに上下左右逆像にする望遠鏡」と解説しているサイトがあるが、マグニファイアーと異なり単独で覗いても何も見えないし、四苦八苦して組み立てた各光学部品の説明にもなってない。
近年、リレーレンズを応用した機材の製作について考えていたとき、ふと地上接眼鏡もリレーレンズを利用しているのではないか、と思いついた。事実を知りたくて検索したが、光学的仕様と製造品質を混同して地上接眼鏡=粗悪品扱いするサイトばかりで、構造について参考になるものが見つからなかった。
現在はほとんど製造されていないようで、コルキットの別売パーツとして販売されているだけだ。オークションでも地上接眼鏡単体の出品はほとんどなく、あっても非常識な開始価格だったりする。最終的には分解調査するのが目的だから、カビありジャンク品で十分なのに…
で、ようやく入手できたのがこれ。
- 長さ195mm
- 最大直径27mm
- 重さ56g
実測した見かけ視界は31度前後だった。
これが製造されていた当時のツァイス・アッベやケルナーの見かけ視界が40度以下だったから無茶苦茶に狭いわけではない。なんたって近寄りにくいターゲット、例えば鳥や獣なんかをウォッチするための接眼鏡なのだから…
対物側のバレルを外して眼レンズから覗くと、15倍前後の上下左右逆像の顕微鏡であった。
眼レンズ単体は16倍前後のルーペだ。
鏡筒部分だけなら上下左右逆像の5〜6倍のルーペ………
………実は、これらの特徴を備えたものを既に所有していた…
タカハシ FM-60 ピント合わせルーペ。
主な用途は高倍率ルーペだが、バリフォーカル・正立アイピース(約4〜6mm)としても使える。
こいつの見かけ視界も30度強だ。
なぁんだ、タカハシも地上接眼鏡、売ってたんじゃん。