2016年10月18日火曜日

双眼鏡マウントの比較


 大野式フリーマウントとAYOtraveler経緯台については以前のアーティクルで述べた。
先日、パンタグラフ+フォーク式の双眼鏡マウントを入手したのでこれらと比較してみた。




 大野式フリーマウントはfujinon 16×70 FMT-SXに対して、1.2kgのバランスウェイトだけで余裕で釣り合っている。
 パンタグラフ+フォーク式の双眼鏡マウントは、ダンベル・プレート0.5kg×4+アンクル・ウェイト1kg×2、すなわち4kgでfujinon 10×70 FMT-SXがかろうじて釣り合った。パンタグラフとフォーク式架台を繋いでいるGITZO G1275雲台をより軽量なものに変更すれば、少しは余裕が生じるのだろうが…



 以前から使用していたAYOtraveler経緯台+自作アングルプレート+ニコン双眼鏡アダプタにfujinon 10×70 FMT-SXを載せたところ。バランスウェイトは2kgで若干足りないが構造上支障ない。


 自作アングルプレートは、L字型に接合した2枚のプレートをアリガタへT字型にネジ止めしたもの。
アリミゾとアリガタのスライドで前後の重心、アリガタとのネジ止め位置で高さの重心を調整する。

 双眼鏡フリーマウントの価値は、
  1. 身体が干渉しない程度に三脚などから双眼鏡を離す
  2. 抵抗なく対象を視野に導入できる
  3. 手を離したその位置で双眼鏡が静止する
が、できるがにかかっている。

ニコン 7×35Eでも支柱が歪むために手放してしまったユーハンターと比べれば、3組とも十分に条件を満たしてはいるのだが、
  1. 三脚のエレベータで高さを変えるAYOtraveler経緯台は、それ故双眼鏡を三脚から十分に離すことができない。
  2. 大野式フリーマウントは、高さを変えると双眼鏡の向きが変わる。個人使用ならこれは問題ではないが、観望会で観測者に合わせて双眼鏡の高さを変えるたびに、導入しなおさなければならないという欠点になる。
  3. パンタグラフ+フォーク式は、双眼鏡の向きが変化しない点はよいが、全重量およそ8kgを支えるには強度不足であり、3組中もっとも追従性が劣る。十分な強度のありそうな輸入マウントは存在するが、双眼鏡本体より高価なため好奇心だけではおいそれと手は出せない。
 結局、携帯性に優れるAYOtraveler経緯台の出番がもっとも多くなりそうだ。

2016年10月3日月曜日

ビクセン アスコット SW 10×50 と ケンコー 7×32 SWA

 KENKO 7×32 SWA を購入して以来、ASCOT SW 10×50 がずっと気になっていた。
よく似ているな〜って…
でも、50mmの口径、10×の倍率、8.5°の実視界は、個別ならいずれもありふれた仕様なので購入を後回しにしていたら、昨年末ごろ突然実売価格が1.5倍にはね上がりそのまま下がらなくなった。
 ASCOT SW も 7×32 SWA と同様、実は中華人民共和国で製造していて円安のワリをくったのだろうか?


 
入手して比べてみたら似ているどころか、なんと対物レンズとシボ・パターン以外はほぼ同じもの…



 ノギスで計測してみたら、プリズムハウス以降の寸法は全く同じ。


 レンズキャップとケースは別物だが、ストラップ、三脚取付けネジ穴のカバーは同じものだ。
 ネジ穴のカバーには、カメラ三脚のイラストと「GKA」の文字のプリント、そしてなんと製造番号らしき刻印!がある。ネジ穴のカバーって、無くすか、他の個体のものと取り違えるか、してしまうのが当たり前のものなのに…
 でも、これによって両方はおんなじとこで製造され、「GKA」の文字がその事業所の手がかりなのだと推測できる。


 7×32 SWAはピント合わせリングにMade in China とプリントされているが、ASCOT SW にはそれはない。

 ASCOT SW をニコン 8×30A(8.5°)、10×35E(6.6°)、FMT-SX 10×50と風景、夜景、星空で比較してみた。
 実視界は8×30Aとほぼ同じ、拡大率は10×35Eとほぼ同じ。なのでこれらは問題なし。
 FMT-SXの最周辺象を良像の限界とすると、ASCOT SW の実視界の約¼、約2.5°が正常に見える範囲だった。
周辺象は 7×32 SWA と同様「新彗星発見!」を錯覚させるものだ。
まつ毛でこするほど眼レンズに目玉を近づけないと視野全体が見えないこと、盛大に迷光、ゴーストの出ることも、おんなじ〜

 キワモノ指向で2台目以降を検討している人にしか購入、勧められないなぁ…

2016年6月9日木曜日

TG経緯台

 いつの間にかTG経緯台が販売終了したようだ。TG赤道儀はまだ残っているのだが…

 私が使用しているのはTG-L経緯台で、スリック・プロフェッショナルデザインIIをベースにした2段伸縮の三脚に載っている。プロフェッショナルデザインII三脚は、1本は手放したがまだ2本所有している。オリジナルの仕様は3段伸縮で高さ2m弱まで伸ばすことができる。そして、重い(約6Kg)ことが長所でもある最大の欠点だ。

 このTG-L経緯台に、普段は75EDHF、たまにVSD100F3.8を載せてちょっと見してることが多い。

で、あまり事例のないニュートン式鏡筒を搭載してみた。




  屈折鏡筒のときはフォークを直立させているのだが、D150mmF5の鏡筒はさすがにバランスがとれないので45°傾斜させている。また短い微動ハンドルを手許に配置するために、フォークを挟んで覗くことになる。

 同じ鏡筒をAYOtraveler経緯台に搭載するとこんな感じ。ハンドルは2本ともフリクション調整用だからあまり操作することがなく、鏡筒の陰になっても不都合ではない。



 Sky Explorer New AZマウントにも搭載してみた。


不安定感いっぱいでどうにも危なっかしい。アリミゾ用のカウンターウェイトを手配する必要があるな。

2016年1月22日金曜日

ニコン 7x50 SP と フジノン 7×50 FMT-SX

ニコン 7x50 SP と フジノン 7×50 FMT-SXはよく比較されている。



 それぞれの評価・結論を見ても、優劣の差は僅かだ。
 自分はキッチン・ラップの芯を覗いたような視野のニコン SP より、フジノン FMT-SXの視野のほうが好み…

2016年1月2日土曜日

地上接眼鏡(テレストリアル・アイピース) と 地上レンズ 31.7AD(テレストリアル・アダプター)

 ミザール製地上接眼鏡(Terrestrial Eye-Piece F16mm)を分解してみた。


 焦点距離を陽光・ものさし測定したところ、眼レンズは両凸シングルf15mm、それ以外は同一の両凸シングルf35mmだった。
光学系以外でもスペーサが無塗装塩ビパイプだったりして、徹底的にチープ。
 この地上接眼鏡の当時の売価は不明だが、現行品 KOL T-18mm の価格から類推すれば、これは仕方ないこと、か…

 今日の安価な天体望遠鏡セット(「入門用」とは決して言いたくない)には地上接眼鏡の代わりに正立アダプター(エレクティング・レンズ)が付属している。概ね1.5倍くらいのバロー・レンズとしての機能も兼ねている。
ということは、上記の地上接眼鏡の前半部分にスリーブを付けたようなもの?か…
 でも、それを確認するためだけに不要なセットを買う気にならないし、エレクティング・レンズ単体で入手できる見込みもない。


 で、代わりにビクセンの地上レンズ 31.7ADを入手した。(でも実売価格はセットの方が安い!)


 こいつは等倍のリレー光学系で、プリズム光学系とは異なり使用・不使用によるドローチューブ繰出し量に変化はない。
そして、広角アイピースの見かけ視界が50°以下に制限されてしまうこと以外の違和感はない…

 地上接眼鏡も、 当然必要なコストを惜しんだりせずに作っていれば、粗悪品呼ばわりされることはなかっただろうに。